世帯主変更届が不要なケースと書き方|必要・提出先も解説

世帯主が亡くなったとき、役所での手続きのひとつに「世帯主変更届(正式には世帯変更届)」があります。しかし、すべてのご家庭で必要になるわけではありません。残された世帯員が1人だけの場合や、15歳未満の子どもと親1人だけが残った場合など、次の世帯主が誰になるか明らかなときは、届出そのものが不要です。
この記事では、世帯主変更届が「不要なケース」と「必要なケース」をはっきり区別したうえで、書き方・記入項目・提出先・期限(死亡から14日以内)・届出人・必要なものまでを、根拠となる法律にもとづいて整理します。ご自身のケースで提出が必要かどうかを、まず判定できる構成にしています。
世帯主変更届とは|いつ必要になる手続きか

世帯主変更届とは、世帯主が死亡・転出などで変わったときに、新しい世帯主の情報を住民票(住民基本台帳)に反映させるための届出です。市区町村の窓口で扱う正式な様式名は「世帯変更届」で、世帯主の変更だけでなく、世帯の分離・合併などもこの様式で行います。世帯主が亡くなったケースでは、残された世帯員の住民票上の世帯主を書き換える手続きにあたります。
根拠は住民基本台帳法第25条です。同条は、世帯主に変更があった世帯員などに対し、変更があった日から14日以内に市区町村長へ届け出ることを義務づけています。つまり世帯主変更届は、相続そのものの手続き(遺産分割や相続登記など)とは別の、住民票に関する手続きという位置づけです。
注意したいのは、世帯主変更届は「残された世帯の構成によって、必要なときと不要なときがある」点です。次の世帯主が法律上・実態上はっきりしている場合は、役所側で自動的に世帯主が決まるため届出を求められません。逆に、世帯員が複数残り、誰が世帯主になるか選択の余地がある場合に届出が必要になります。まずは次章で、不要なケースから確認しましょう。
世帯主変更届が不要なケース|次の世帯主が明らかな場合
世帯主が亡くなっても、次の世帯主が誰になるか明らかな場合は、世帯主変更届を提出する必要はありません。役所が残された世帯の状況から自動的に新しい世帯主を判断できるためです。代表的な不要パターンは次のとおりです。
- 残された世帯員が1人だけのとき……たとえば夫婦2人暮らしで世帯主の夫が亡くなり、残るのが妻1人の場合。次の世帯主が妻であることは明らかなので届出は不要です。
- 世帯主が一人暮らしだったとき……世帯主本人だけの世帯で、その世帯主が亡くなった場合は世帯員が誰も残らないため、世帯主変更届という考え方自体が生じません(死亡届にもとづき住民票が消除されます)。
- 残った世帯員が、15歳以上1人と15歳未満の子のみのとき……たとえば親1人と15歳未満の子どもだけが残った場合。世帯主になれるのは15歳以上のため、次の世帯主はその親に確定します。選択の余地がないので届出は不要です。
- 残された世帯員のうち、15歳以上が1人しかいないとき……15歳未満の子が複数いても、15歳以上の人が1人だけなら、その人が自動的に世帯主になるため届出は不要です。
ポイントは「残された世帯員のうち、世帯主になれる15歳以上の人が1人だけかどうか」です。15歳以上が1人に絞られるなら、誰が世帯主になるか選びようがないため、届出は要りません。
| 残された世帯の状況 | 次の世帯主 | 世帯主変更届 |
|---|---|---|
| 世帯員が1人だけ残った(例:妻のみ) | その1人に確定 | 不要 |
| 世帯主が一人暮らしで世帯員ゼロ | 該当者なし | 不要(死亡届で消除) |
| 親1人+15歳未満の子のみ | 親に確定 | 不要 |
| 15歳以上が1人+15歳未満が複数 | 15歳以上の1人に確定 | 不要 |
| 15歳以上の世帯員が2人以上残った | 選択の余地あり | 必要 |
なお、自治体によって運用や案内の表現が異なる場合があります。判断に迷うときは、お住まいの市区町村の窓口に確認すると確実です。世帯主が亡くなったあとに行う住民票・公的手続き全般は、死後の手続きのカテゴリでもまとめて解説しています。
世帯主変更届が必要なケース|世帯主の候補が複数いる場合
反対に、世帯主になれる15歳以上の世帯員が2人以上残った場合は、世帯主変更届の提出が必要です。誰を世帯主にするかは残された世帯員が決めるため、役所が自動的に判断できないからです。具体的には次のようなケースが該当します。
- 配偶者と成人した子が残ったとき……たとえば父(世帯主)が亡くなり、母と社会人の子が同一世帯に残った場合。新しい世帯主を母にするか子にするか選べるため、届出が必要です。
- 15歳以上のきょうだいなど、複数人が残ったとき……世帯主を誰にするかの候補が複数いるケースです。
- 三世代同居などで15歳以上の世帯員が多いとき……同居家族のうち15歳以上が複数いる場合も届出が必要になります。
判定はシンプルです。「亡くなった世帯主を除いて、15歳以上の世帯員が2人以上いるか」を確認してください。2人以上いれば届出が必要、1人以下なら不要、という整理になります。
世帯主変更届の書き方|記入項目をHowToで解説
世帯主変更届(世帯変更届)の様式は市区町村ごとに用意されていますが、記入する項目はおおむね共通しています。窓口で配布される様式に沿って、次の手順で記入します。
手順1:届出の種類(事由)を選ぶ
様式の冒頭にある届出事由のうち「世帯主の変更」を選びます。世帯の分離・合併などと共通の様式になっていることが多いため、該当する欄にチェックなどを入れます。
手順2:届出日と変更があった日を書く
窓口に提出する日付(届出日)と、世帯主が変わった日(死亡日)を記入します。変更があった日は、提出期限(14日以内)の起算日にもなる重要な項目です。
手順3:住所・旧世帯主・新世帯主を書く
世帯の住所を記入し、亡くなった旧世帯主の氏名・生年月日と、新しく世帯主になる人の氏名・生年月日を記入します。誰から誰へ世帯主が変わるのかを明確にする欄です。
手順4:変更のある世帯員・続柄を書く
世帯主の変更にともない、住民票上の続柄(世帯主との関係)が変わる世帯員の氏名・生年月日などを記入します。様式によっては新しい世帯主からみた続柄を書く欄があります。
手順5:届出人欄に記入し本人確認書類を添える
届出人の氏名・住所・連絡先を記入します。届出人と新世帯主が同じか異なるか(代理人かどうか)も様式に従って記載し、本人確認書類とあわせて窓口に提出します。記入内容に不安があれば、空欄のまま窓口で職員に確認しながら書いても問題ありません。
提出先・期限・届出人・必要なもの

記入のしかたとあわせて、提出に関する基本ルールを押さえておきましょう。次の表に要点をまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出先 | 亡くなった世帯主が住民登録していた市区町村の役所・役場の窓口 |
| 期限 | 変更があった日(死亡日)から14日以内(住民基本台帳法第25条) |
| 届出人 | 新しい世帯主、または同じ世帯の世帯員。委任状があれば代理人も可 |
| 手数料 | 原則かからない(無料) |
提出期限と起算日
提出期限は、世帯主が亡くなった日から起算して14日以内です。14日目が役所の閉庁日(土日祝日や年末年始)にあたる場合は、その翌開庁日が期限になります。世帯主の死亡時には、まず死亡届(死亡を知った日から7日以内)を提出するため、その手続きとあわせて世帯主変更届の要否を確認しておくと安心です。
届出人になれる人
届出人は、新しい世帯主本人だけに限りません。同じ世帯の世帯員も届出できます。世帯員以外の人が代理で提出する場合は、委任状と代理人の本人確認書類が必要です。
窓口に持っていくもの
- 届出人の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
- 国民健康保険被保険者証(加入している世帯のみ。世帯主変更にともない書き換えが必要な場合)
- 代理人が届け出る場合は、委任状と代理人の本人確認書類
- 印鑑(自治体や様式により求められる場合がある)
必要書類は自治体によって細かく異なるため、出向く前にお住まいの市区町村のホームページや窓口で確認しておくと二度手間を防げます。世帯主変更は相続の入口にあたる手続きでもあるため、その後の遺産分割や名義変更で迷ったときは相続の相談のカテゴリもあわせてご覧ください。
よくある疑問(FAQ)
夫が亡くなり妻だけが残りました。届出は必要ですか?
不要です。残された世帯員が妻1人だけの場合、次の世帯主が妻であることは明らかなため、世帯主変更届を提出する必要はありません。役所側で自動的に世帯主が妻に変わります。
母と15歳未満の子だけが残った場合は提出しますか?
不要です。世帯主になれるのは15歳以上のため、15歳未満の子は世帯主になれません。残った15歳以上が母1人だけなら、自動的に母が世帯主になるので届出は要りません。
提出期限の14日を過ぎてしまいました。どうなりますか?
期限を過ぎても届出はできますので、気づいた時点ですみやかに窓口へ届け出てください。なお住民基本台帳法では、正当な理由なく届出をしない者は5万円以下の過料に処せられる定めがあります(同法第52条第2項)。実際に科されるかは個別の判断によりますが、早めの届出が安全です。
世帯主変更届に手数料はかかりますか?
原則として手数料はかかりません(無料)。ただし、あわせて住民票の写しなどを取得する場合は、その発行手数料が別途必要になります。
新しい世帯主以外の人でも届出できますか?
できます。新世帯主本人だけでなく、同じ世帯の世帯員も届出人になれます。世帯員以外の人が手続きする場合は、委任状と代理人の本人確認書類を用意すれば代理での提出が可能です。
世帯主変更届と相続の手続きは同じものですか?
別の手続きです。世帯主変更届は住民票(住民基本台帳)上の世帯主を書き換える届出で、遺産分割や相続登記といった相続そのものの手続きとは異なります。世帯主変更を済ませても相続は完了しないため、財産の名義変更などは別途進める必要があります。
まとめ|まず「15歳以上の世帯員が何人残ったか」で判定を
世帯主変更届が必要かどうかは、亡くなった世帯主を除いて、15歳以上の世帯員が2人以上残ったかで判定できます。1人以下(残った世帯員が1人だけ/親1人と15歳未満の子のみなど)であれば、次の世帯主が明らかなため届出は不要です。2人以上残った場合は、死亡日から14日以内に市区町村の窓口へ届け出ましょう。
書き方は様式に沿って、届出事由・日付・旧新の世帯主・変更のある世帯員・届出人を記入し、本人確認書類を添えれば完了します。世帯主の死亡後は、ほかにも年金や保険などさまざまな手続きが続きます。手続き全体の進め方や相続の段取りに不安があるときは、Death Tech Japanについてのページから、わたしたちの考え方や提供している情報もご確認いただけます。
