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死を意識し始める領域 | ACP(人生会議)

人生会議ノートとは|自治体配布の例・入手方法と書き方を解説

人生会議ノートとは|自治体配布の例・入手方法と書き方を解説

「人生会議のノートを書きたいが、どこで手に入るのか」「自治体が配っているノートには何を書けばよいのか」——そう感じて検索された方へ向けた記事です。人生会議ノートは、国(厚生労働省)が愛称をつけたACP(アドバンス・ケア・プランニング)を、自分の言葉で書き留めるための記入式ツールです。ただし全国共通の決まった様式はなく、自治体や医師会、医療機関がそれぞれ独自に作成・配布しているため、情報が分散していて全体像がつかみにくいのが実情です。

この記事では、人生会議ノートとは何かをエンディングノートとの違いとともに整理し、自治体が配布する実在のノートの例と入手方法、共通する記入項目、書き方の進め方、そして手元にノートが無い場合の代替手段までを横断的にまとめます。事実は厚生労働省や各自治体の公開情報で確認した内容のみを記載しています。

TOC

人生会議ノートとは何か

人生会議ノートとは何か|人生会議ノート完全ガイド

「人生会議」とは、厚生労働省がACP(アドバンス・ケア・プランニング)につけた愛称です。厚生労働省は人生会議を「もしものときのために、あなたが望む医療やケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取組」と定義しています。つまり人生会議は「一度書いて終わり」の書類作成ではなく、考える・話し合う・共有するという繰り返しのプロセスそのものを指します。

その人生会議を進めるために、自分の価値観や、もしものときに望む医療・ケア、信頼できる人などを書き留める記入式の冊子が「人生会議ノート」です。名称はさまざまで、「エンディングノート」「わたしの思いをつなぐノート」「わたしの想いをつなぐノート」「私のこれから」「価値観シート」などと呼ばれることもあります。共通しているのは、頭の中で漠然と考えていることを文字にして整理し、家族や医療・介護の専門職と話し合うきっかけにする、という役割です。

人生会議そのものの考え方や背景については、人生会議とは何かをわかりやすく解説した記事で詳しく扱っています。本記事は「ノート(記入ツール)」に絞って解説します。

エンディングノートとの違い

人生会議ノートとエンディングノートは重なる部分が多く、自治体によっては同じ冊子を両方の目的で配布しています。違いを整理すると次のようになります。

観点人生会議ノート(ACP)一般的なエンディングノート
主な目的もしものときに望む医療・ケアを考え、話し合い、共有する財産・葬儀・連絡先など終活全般の情報を書き残す
中心となる内容価値観、受けたい・避けたい医療、信頼できる人資産、保険、葬儀の希望、家族へのメッセージなど
想定する読み手家族・医療・介護の専門職主に家族・遺族
性質繰り返し見直す「プロセス」の記録情報を一度まとめて残す「記録」の性格が強い
法的効力原則として法的拘束力はない原則として法的拘束力はない

どちらも、それ自体に法的な拘束力はありません。遺産の分け方を法的に指定したい場合は遺言書が必要です。人生会議ノートやエンディングノートは、本人の意思を周囲が知るための「手がかり」であり、話し合いの土台と位置づけて使うものです。エンディングノートの書き方や項目については、エンディングノートの書き方・項目を解説した記事も参考になります。

自治体が配布する人生会議ノートの例と入手方法

人生会議ノートには全国共通の様式はなく、市区町村や都道府県、地域の医師会などがそれぞれ独自の冊子を作成しています。ここでは、公開情報で内容と配布が確認できた実在の例を挙げます。お住まいの自治体に同じ冊子があるとは限らないため、最終的には各自治体の窓口やホームページで確認してください。

自治体・団体冊子の名称・内容主な入手方法
神戸市「大事なことだから、みんなと話したい『私のこれから』」。話し合いの手順や、大切にしていることを考える価値観シートを掲載各区役所・北須磨支所・玉津支所の保健福祉課で配布
東京都日野市「わたしの思いをつなぐエンディングノート」。財産・葬儀の項目に加え、今後受けたい医療・ケアを記載するページを含む高齢福祉課窓口、市民相談窓口、各図書館、地域包括支援センター等で配布。PDFダウンロードも可能
東京都目黒区「わたしの思い手帳」福祉総合課、地域包括支援センターで配布
大阪府啓発パンフレットに、話し合った内容を書き留める記録シートを添付府の事業として配布・公開
北九州市ACPの話し合い用のパンフレットと記録シートダウンロード可能

このように、自治体によって名称も体裁も異なります。「人生会議ノート」という名前で配られているとは限らず、「エンディングノート」「私のこれから」「思い手帳」などの名称で、実質的に同じ役割を果たしていることが多い点に注意してください。

自分の地域のノートを探す手順

  1. お住まいの市区町村名と「人生会議」「ACP」「エンディングノート」を組み合わせてホームページを検索する。
  2. 見つからない場合は、都道府県名で同じキーワードを検索する(都道府県が広域で配布している例があるため)。
  3. 地域の医師会のホームページも確認する(医師会が独自のノートを公開している場合があるため)。
  4. 地域包括支援センターや市区町村の高齢福祉・保健福祉の窓口に直接問い合わせる。窓口配布のみで、ウェブに掲載していない自治体もあります。

多くのノートは無料で配布され、PDFで公開している自治体も増えています。費用や入手条件は自治体ごとに異なるため、上記の手順で確認するのが確実です。

人生会議ノートに共通する記入項目

様式は自治体ごとに違いますが、人生会議ノートの中心となる項目には共通点があります。厚生労働省や神戸大学(厚生労働省委託)の資料で示されている枠組みを踏まえると、大きく次の四つに整理できます。

項目書く内容の例
① 大切にしていること(価値観)自分らしく生きるために大切にしたいこと。家族との時間、自分のことは自分で決めたい、痛みや苦しみが少ないこと、経済的な安心など
② 受けたい・避けたい医療やケアもしものときに受けたい医療やケア、避けたい医療やケア。最期を迎えたい場所(自宅・病院・施設など)の希望
③ 信頼できる人(代わりに気持ちを伝える人)自分の考えや気持ちを伝えられなくなったときに、代わりに話し合ってくれる人。複数人を選んでもよい
④ 家族や周囲に伝えたいこと家族や大切な人へのメッセージ、これまでの人生で大切にしてきたことなど

神戸大学が作成した学習資料「ゼロからはじめる人生会議」では、自分にとって大切なことを複数の選択肢から選んで理由を書き、重い病気のときに「受けたいこと」「避けたいこと」を具体的に記述する形になっています。さらに、自分の代わりに話し合う「信頼できる人」を決めて本人に直接伝えること、決めた内容を医療・介護の専門職と共有することが重視されています。

特に重要な「信頼できる人」の項目

四つの項目のうち、見落とされがちで重要なのが③の「信頼できる人」です。これは、病状などによって自分の意思を伝えられなくなったときに、本人の価値観を理解したうえで、代わりに気持ちや希望を伝えてくれる人を指します。家族に限らず選べますし、複数人を選んでも構いません。ノートに名前を書くだけでなく、選んだ本人に「あなたにお願いしたい」と直接伝えておくことが大切だとされています。

人生会議ノートの書き方・進め方

ノートは、最初から完璧に埋める必要はありません。厚生労働省や神戸大学の資料が示す進め方は、おおむね「考える→信頼できる人を決める→伝える」という流れです。次の手順を目安に、書ける項目から少しずつ進めるとよいでしょう。

  1. 大切にしていることを考える……まず自分の価値観を書き出します。難しく考えず、「どんなときに自分らしいと感じるか」「何があれば安心できるか」から始めます。
  2. もしものときに望む医療・ケアを書く……受けたい医療、避けたい医療、最期を過ごしたい場所などを、現時点での気持ちで構わないので書きます。わからない項目は空欄のままで問題ありません。
  3. 信頼できる人を決める……自分の意思を代弁してくれる人を選び、ノートに記します。
  4. 家族や信頼できる人と話し合う……書いた内容をもとに、家族や信頼できる人と話します。話すことで考えが整理され、書き直したくなる部分も出てきます。
  5. 医療・介護の専門職と共有する……かかりつけ医やケアマネジャーなど、医療・介護の専門職に内容を伝え、共有します。
  6. 定期的に見直す……気持ちは時間とともに変わります。体調や生活の変化があったとき、節目のときなどに読み返し、書き直します。

人生会議は繰り返しのプロセスです。一度書いた内容を変えてはいけない、ということはありません。むしろ、見直して更新していくことが本来の趣旨に沿っています。話し合いの進め方をより詳しく知りたい場合は、人生会議のやり方・進め方を解説した記事も合わせてご覧ください。

書くときの注意点

  • 全項目を一度に埋めようとしない。書ける項目から始め、空欄があってよい。
  • 体調が良く、気持ちに余裕のあるときに取り組む。
  • 書いただけで安心せず、信頼できる人や家族に「ノートを書いた」ことと保管場所を伝える。
  • 法的に効力を持たせたい事項(相続・遺産分割など)は、別途、遺言書など適切な書類を用意する。

人生会議やACPに関する記事をまとめて読みたい方は、ACP(人生会議)カテゴリの記事一覧もご活用ください。

自治体のノートが無い・見つからない場合の代替手段

自治体のノートが無い・見つからない場合の代替手段|人生会議ノート完全ガイド

お住まいの自治体が人生会議ノートを配布していない、あるいは探しても見つからないこともあります。その場合でも、人生会議は始められます。以下のような公的・準公的な資料や、市販のノートで代替できます。

代替手段内容向いている人
厚生労働省「人生会議」ポータルサイト人生会議の考え方、学習資料、身近な事例などを掲載。国の公式情報まず基本を知りたい人
神戸大学「ゼロからはじめる人生会議」厚生労働省委託の学習サイト。価値観の選択や医療の希望を考える手順を提供項目に沿って考えを整理したい人
近隣・他自治体の公開PDF多くの自治体がノートやシートをPDFで公開している様式の見本がほしい人
市販・無料のエンディングノート医療・ケアの項目を含むものを選べば代用できる手元で書き進めたい人

厚生労働省は、人生会議の普及啓発のためのポータルサイトや学習資料を公開しています。専用のノートが手元になくても、こうした資料を使えば、価値観・受けたい医療・信頼できる人といった中心項目を自分で書き出すことができます。市販や無料のエンディングノートを使う場合は、財産や葬儀の項目だけでなく、医療・ケアに関する項目が含まれているものを選ぶと、人生会議ノートに近い使い方ができます。

大切なのは、決まった様式のノートを完璧に埋めることではなく、自分の望む医療やケアについて考え、信頼できる人と話し合い、共有しておくことです。ノートはそのきっかけにすぎません。まずは公的な資料を頼りに、書ける項目から始めてみてください。人生会議やDeath Tech Japanの取り組みについては運営者についてのページもご覧いただけます。

参考にした公的情報