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死後の実務と継承 | 墓・墓じまい

改葬の手続きと必要書類|墓じまい前に知る流れと費用の全手順

改葬の手続きと必要書類|墓じまい前に知る流れと費用の全手順

「お墓を引っ越したいが、何から手を付ければいいのか分からない」「改葬には書類がいると聞いたが、どこで何をもらうのか整理できていない」——墓じまいを考え始めた多くの方が、最初につまずくのがこの手続きと必要書類です。改葬(お墓の引っ越し)は、ただ遺骨を移せばよいというものではなく、墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)に基づき、市区町村長の許可を受けて行う法的な手続きです。許可を受けずに遺骨を移すと罰則の対象になります。

この記事では、改葬の手続きの流れを順を追って解説し、必要書類を一覧表とチェックリストで整理します。費用の目安、墓じまいとの関係、親族や墓地管理者の同意・離檀料といったトラブルを避けるポイントまで、改葬を進めるうえで知っておくべきことを一通りまとめました。なお、書類の名称や手数料は市区町村によって異なる部分があるため、最終的には必ず現在の墓地がある市区町村の窓口で確認してください。

TOC

改葬とは——「お墓の引っ越し」を法律で定めた手続き

改葬とは——「お墓の引っ越し」を法律で定めた手続き|改葬の手続きと必要書類

改葬とは、すでにお墓や納骨堂に納められている遺骨を、別の墓地・納骨堂・永代供養施設などに移すことをいいます。一般には「お墓の引っ越し」と呼ばれます。墓地埋葬法第2条では、改葬を「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」と定義しています。

ここで重要なのは、改葬が個人の判断だけでは完結しない法的手続きだという点です。墓地埋葬法第5条は、改葬を行おうとする者は市町村長(特別区の区長を含む)の許可を受けなければならないと定めています。そして、その許可を出すのは遺骨が現に存在する地の市区町村長です。つまり、新しいお墓のある市区町村ではなく、今お墓がある市区町村に申請します。許可が下りると、同法第8条に基づき「改葬許可証」が交付されます。

もし許可を受けずに遺骨を移した場合、墓地埋葬法第21条により、千円以下の罰金または拘留もしくは科料に処されることがあります。金額そのものは大きくありませんが、新しい納骨先で遺骨を受け入れる際には改葬許可証の提示を求められるのが通常であり、許可証がなければそもそも納骨できません。手続きを正しく踏むことは、改葬を完了させるための必須条件です。

お墓そのものや遺骨の扱いについての基礎は、お墓に関する記事一覧もあわせてご覧ください。

改葬手続きの流れ——5つのステップ

1新しい受入先(改葬先)を決める遺骨を移す先を決めて契約し、その墓地・施設の管理者から受入証明書を発行してもらう。2現在の墓地管理者から埋蔵(埋葬)証明をもらう現在のお墓がある墓地・霊園・寺院の管理者に、遺骨が納められていることを証明する埋蔵証…3現在の墓地がある市区町村に改葬許可を申請する現在お墓がある市区町村の役所で改葬許可申請書を入手し、受入証明書・埋蔵証明をそろえて…4閉眼供養を行い、遺骨を取り出す改葬許可証を受け取ったら、仏式では閉眼供養(魂抜き)を行ったうえで遺骨を取り出し、墓…5新しい受入先に改葬許可証を提出して納骨する新しい墓地・納骨堂に遺骨を移し、改葬許可証を管理者に提出して納骨する。仏式では開眼供…
図:改葬の手続き

改葬の手続きは、書類を集める順番を間違えると二度手間になりやすいものです。基本の流れは次の5ステップです。「受入先を決める→現在の墓地から証明をもらう→市区町村に申請する→遺骨を取り出す→新しい場所に納骨する」という順序で進めると、無駄なく進められます。

ステップ1:新しい受入先(改葬先)を決める

まず、遺骨を移す先を決めて契約します。一般墓・納骨堂・樹木葬・永代供養墓・合祀墓など、移転先の形態はさまざまです。受入先が決まったら、その墓地・施設の管理者から「受入証明書」(永代使用許可証や墓地使用許可証で代える場合もあり)を発行してもらいます。改葬許可の申請には受入先が決まっていることが前提となるため、この工程を最初に行います。

ステップ2:現在の墓地管理者から埋蔵(埋葬)証明をもらう

次に、現在お墓がある墓地・霊園・寺院の管理者に連絡し、その遺骨が確かにそこに納められていることを証明する「埋蔵証明書(埋葬証明書)」を発行してもらいます。多くの市区町村では、改葬許可申請書の用紙に「埋蔵証明」を記入する欄が設けられており、墓地管理者にその欄へ署名・押印してもらう方式が一般的です。別様式の証明書を受け取る場合もあります。寺院墓地の場合は、この時点で住職に改葬の意向を伝えることになり、後述する離檀の相談もここで始まります。

ステップ3:現在の墓地がある市区町村に改葬許可を申請する

「改葬許可申請書」を、現在お墓がある市区町村の役所(戸籍課・市民課など)で入手します。多くの自治体では公式サイトから様式をダウンロードでき、電子申請に対応している自治体もあります。申請書に必要事項を記入し、受入証明書・埋蔵証明などをそろえて窓口または郵送で提出します。許可が下りると「改葬許可証」が交付されます。交付までの期間は即日〜1週間程度が目安です。なお、改葬許可証は原則として遺骨1体につき1枚必要で、申請書も遺骨ごとに作成します。

ステップ4:閉眼供養を行い、遺骨を取り出す

改葬許可証を受け取ったら、現在のお墓から遺骨を取り出します。仏式では取り出しの前に「閉眼供養(魂抜き・お性根抜き)」を行うのが一般的です。これは墓石に宿った魂を抜くための法要で、僧侶に読経を依頼します。閉眼供養を済ませていないと、石材店が墓石の撤去に応じないこともあります。遺骨を取り出した後は、墓石を撤去し、墓地を更地に戻して管理者に返還します(墓じまい)。

ステップ5:新しい受入先に改葬許可証を提出して納骨する

最後に、ステップ1で決めた新しい墓地・納骨堂に遺骨を移し、納骨します。納骨の際には改葬許可証を新しい墓地の管理者に提出します。仏式では納骨にあわせて「開眼供養(魂入れ)」や納骨法要を行うことが多くなります。これで改葬の一連の手続きは完了です。

納骨先の選び方や納骨の流れについては、納骨に関する記事一覧も参考になります。

改葬に必要な書類一覧

改葬で扱う書類は、大きく分けて「申請に出すもの」と「許可の結果として受け取るもの」に分かれます。下の表で、それぞれの書類が「どこで入手し」「誰が発行し」「何のために使うのか」を整理しました。書類名は自治体によって表現が異なる場合があります(例:埋蔵証明書/埋葬証明書/納骨証明書など)。

書類名入手先・発行者役割・用途手数料の目安
改葬許可申請書現在の墓地がある市区町村の役所(窓口・公式サイト)改葬許可証の交付を申請するための書類。故人・申請者の情報などを記入用紙は無料
受入証明書新しい受入先(改葬先)の墓地・施設の管理者遺骨の受け入れ先が確保されていることを証明。永代使用許可証等で代える場合あり無料〜数千円程度
埋蔵証明書(埋葬証明書)現在の墓地・霊園・寺院の管理者その遺骨が現在の墓地に納められていることを証明。申請書の証明欄で代える場合あり無料〜1,500円程度
改葬許可証現在の墓地がある市区町村の役所(申請後に交付)改葬を法的に認める証明書。遺骨取り出し・新しい墓地への納骨時に提示無料〜300円程度

このほか、自治体によっては申請者の本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など)戸籍謄本・除籍謄本(故人との続柄を確認するため)、墓地使用者と申請者が異なる場合の委任状や承諾書が求められることがあります。何が必要かは市区町村ごとに違うため、申請前に窓口や公式サイトで確認しておくと安心です。

改葬書類チェックリスト

準備もれを防ぐため、次の項目を順番に確認しながら進めましょう。

  • □ 新しい受入先を契約し、受入証明書を受け取った
  • □ 現在の墓地管理者に改葬の意向を伝え、埋蔵(埋葬)証明をもらった
  • □ 現在の墓地がある市区町村から改葬許可申請書を入手した
  • □ 申請書に必要事項を記入し、本人確認書類・委任状など追加書類を確認した
  • □ 遺骨1体につき1枚で申請書を準備した(複数体の場合)
  • □ 市区町村に提出し、改葬許可証を受け取った
  • □ 改葬許可証を新しい受入先に提出し、納骨した

改葬・墓じまいにかかる費用の目安

改葬の手続き自体にかかる行政手数料はごくわずか(無料〜300円程度)ですが、改葬は実際には墓じまい(既存のお墓の撤去)と新しい納骨先の確保をともなうため、総額では幅が出ます。一般に総額の相場は30万円〜数百万円、ボリュームゾーンは50万円〜150万円前後といわれます。主な内訳は次のとおりです。

費用項目目安備考
改葬許可の行政手数料無料〜300円程度/1体自治体により異なる
墓石の解体・撤去、更地化1㎡あたり10万〜15万円程度区画の広さ・立地・作業難度で変動
閉眼供養(魂抜き)のお布施3万〜10万円程度寺院・地域による
離檀料(寺院墓地の場合)0〜20万円程度法的義務はない(後述)
新しい受入先の費用合祀・合葬墓:10万〜30万円/樹木葬:20万〜80万円/納骨堂:30万〜150万円/一般墓:100万円〜形態により大きく異なる

費用を抑えるうえで最も大きく動くのは、墓石の撤去費用新しい受入先の種類です。合祀墓や樹木葬を選べば受入先の費用は数十万円に収まることが多く、一般墓を新たに建てる場合は百万円を超えることもあります。見積もりは複数の石材店・施設から取り、内訳を比較するのが基本です。

改葬と墓じまいの関係

改葬と墓じまいの関係|改葬の手続きと必要書類

「改葬」と「墓じまい」は混同されがちですが、厳密には指す範囲が異なります。墓じまいは、既存のお墓を撤去して墓地を更地に戻し、使用権を管理者に返還することを指す言葉です。一方、改葬は遺骨を別の場所に移すこと、つまり前述の法的手続きを指します。

実際には、墓じまいをすると中に納められていた遺骨の行き先が必要になるため、墓じまいの大半は改葬をともなうことになります。逆に、新しい場所へ遺骨を移す(改葬する)には、元のお墓を片付ける(墓じまいする)必要があります。手続きの観点では、改葬許可証の取得が両者をつなぐ中心的な工程です。墓じまいを検討している方は、まず「遺骨をどこへ移すか(改葬先)」を決めることから始めると、その後の流れがスムーズになります。

トラブルを避けるための3つのポイント

改葬は親族や寺院との関係が絡むため、手続き面より人間関係でつまずくケースが少なくありません。あらかじめ次の3点を押さえておきましょう。

1. 親族の同意を先に得ておく

お墓は申請者一人のものではなく、複数の親族にとって大切な場所です。手続きを進めてから「勝手に動かした」と反発を受けると、改葬後に関係がこじれることがあります。法律上は祭祀承継者(お墓を引き継ぐ人)が手続きを進められますが、事前に親族へ相談し、合意を得てから動くことがトラブル防止の基本です。

2. 墓地管理者(特に寺院)に早めに相談する

埋蔵証明をもらうには墓地管理者の協力が欠かせません。とりわけ寺院墓地では、改葬は檀家を離れる(離檀)ことを意味する場合が多く、住職への伝え方が重要になります。書類だけを一方的に求めるのではなく、これまでの供養への感謝を伝えたうえで事情を相談すると、手続きが円滑に進みやすくなります。

3. 離檀料は「義務ではない」が、関係性で対応する

寺院墓地を離れる際に「離檀料」を求められることがあります。離檀料は、これまでの供養への感謝として渡すお布施の性格を持つもので、法律上の支払い義務はありません。相場は0〜20万円程度(通常の法要のお布施の2〜3倍が目安とされる)と幅があります。高額を請求されてトラブルになるケースもありますが、まずは話し合いで解決を図り、折り合いがつかない場合は行政書士や弁護士など専門家に相談する方法があります。感情的な対立を避け、円満に離檀することが、結果的に最もスムーズな改葬につながります。

改葬とあわせて発生する各種の行政手続きについては、死後の手続きに関する記事一覧も確認しておくとよいでしょう。

よくある質問(FAQ)

改葬許可申請はどこの市区町村に出すのですか?

新しいお墓のある市区町村ではなく、現在お墓があり遺骨が納められている市区町村に申請します。墓地埋葬法第5条で、改葬の許可は「死体又は焼骨の現に存する地の市町村長」が行うと定められているためです。

必要書類は全国共通ですか?

基本となる改葬許可申請書・埋蔵証明・受入証明という構成は共通ですが、書類の名称・様式・追加で求められる書類・手数料は市区町村ごとに異なります。本人確認書類や戸籍謄本、委任状を求める自治体もあります。申請前に、現在の墓地がある市区町村の公式サイトや窓口で必ず確認してください。

遺骨が複数ある場合、書類は1枚で足りますか?

原則として改葬許可申請書・改葬許可証は遺骨1体につき1枚必要です。先祖代々のお墓で複数の遺骨を移す場合は、その人数分の申請が必要になります。ただし自治体によっては1枚にまとめられる場合もあるため、窓口で確認してください。

改葬許可証が交付されるまでどのくらいかかりますか?

書類がそろっていれば即日〜1週間程度が目安です。郵送申請の場合は往復の日数が加わります。納骨法要の日程が決まっている場合は、余裕をもって申請しましょう。

許可を受けずに遺骨を移すとどうなりますか?

墓地埋葬法第21条により、千円以下の罰金または拘留もしくは科料の対象となります。加えて、新しい墓地で納骨する際には改葬許可証の提示が求められるのが通常で、許可証がないと納骨を断られます。必ず正規の手続きを踏んでください。

離檀料は必ず支払わなければなりませんか?

離檀料に法律上の支払い義務はありません。これまでの供養への感謝としてのお布施という位置づけです。相場は0〜20万円程度と幅があります。高額請求などで折り合いがつかない場合は、まず話し合い、それでも解決しなければ行政書士や弁護士に相談する方法があります。

※本記事は一般的な情報をまとめたものです。手続きの詳細・書類・手数料は市区町村によって異なります。実際の手続きにあたっては、必ず現在の墓地がある市区町村の窓口でご確認ください。当サイトの運営方針については運営者情報をご覧ください。