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【ニュース】相続で年2.19兆円が地方から東京圏へ ルリアン×筑波大の共同研究論文がGIS学会誌に掲載

【ニュース】相続で年2.19兆円が地方から東京圏へ ルリアン×筑波大の共同研究論文がGIS学会誌に掲載

相続プラットフォーム「みんなの相続窓口」を運営する株式会社ルリアンは2026年8月27日、筑波大学などとの共同研究論文が地理情報システム学会の学会誌『GIS-理論と応用』Vol.34 No.3に掲載されたと発表しました。論文タイトルは「相続遠距離化と金融資産移動 ―相続起因の東京一極集中と地方衰退―」です。同社が保有する匿名加工済みの相続実データを用い、相続によって金融資産が地方から都市部へ移動する構造を地理情報システム(GIS)で分析しています。

本記事は同社のプレスリリースをもとに、Death Tech Japan編集部が独自の視点で読み解きます。

目次

リリースの要点

【ニュース】相続で年2.19兆円が地方から東京圏へ ルリアン×筑波大の共同研究論文がGIS学会誌に掲載
  • 発表は2026年8月27日。株式会社ルリアン(相続プラットフォーム「みんなの相続窓口」運営)による発表。
  • 論文名は「相続遠距離化と金融資産移動 ―相続起因の東京一極集中と地方衰退―」。掲載誌は地理情報システム学会の『GIS-理論と応用』Vol.34 No.3で、J-STAGEで公開されている。
  • 共同研究の相手は筑波大学(阿部くらん元研究員、大澤義明元教授)および麗澤大学(大澤義明教授)。ルリアン側は宇佐美朋香執行役員、藤巻米隆会長兼CEO、小西弘樹社長が名を連ねる。
  • 分析に用いたのは、同社の相続プラットフォームに蓄積された相続実データ(匿名加工済み)。
  • 国内で1年間に相続される金融資産(預貯金・株式など)の推計は29.79兆円。2023年度の一般会計予算114.4兆円の約26.0%に相当する規模とされる。
  • 都道府県をまたぐ資金移動を見ると、東京都・神奈川県は年間1.51兆円の流入超過。中部・近畿・その他地方はいずれも流出超過だった。
  • 東京都・神奈川県の外で発生した相続金融資産のうち、東京圏へ流入する額は年間2.19兆円。
  • 被相続人と相続人が同じ自治体内で完結する「自治体完結型相続」は全体の26.2%、およそ4分の1にとどまる。
  • 地方に留まった相続人のうち44%は高齢の配偶者で、そのうち過半数が70代以上。
  • 東京都内へ流入した資産のうち40.4%は、東京都外に住んでいた被相続人からの流入。

客観的に見ると

市場・業界の文脈

相続を扱う事業者が学術機関と組み、自社データを査読付きの学会誌に載せるという動きは、終活・相続業界ではまだ多くありません。この分野の情報発信は、士業や葬儀社による実務解説、あるいは調査会社によるアンケート調査が中心で、実際の相続案件のデータそのものを集計・公開した例は限られてきました。ルリアンは自社の取り組みを「相続工学」と呼び、都市計画分野の学会誌にも過去に論文を出しています。今回のGIS分野への掲載は、その延長線上にある動きと位置づけられます。

背景として、相続に関する公的な統計は限られている点も挙げられます。相続税の申告データからは課税対象となる比較的規模の大きい相続の姿は見えますが、被相続人と相続人がどこに住んでいたかという地理的な関係まで細かく追える公開データは多くありません。事業者の保有データが、公的統計の空白を埋める形で使われた事例といえます。

データ・主張の読み方

数値を読むうえで留意したい点がいくつかあります。第一に、分析の元になっているのは同社のプラットフォームに集まった相続案件であり、日本の相続全体を無作為抽出したサンプルではありません。相続の相談をオンラインのプラットフォームに持ち込む層には、一定の偏り(年齢層、資産の性質、家族構成など)がある可能性を考える必要があります。29.79兆円という年間相続金融資産の総額も、そこから積み上げられた推計値です。

第二に、「東京圏」の定義です。今回のリリースで示された流入超過1.51兆円は東京都・神奈川県を指しており、一般的に東京圏として語られる一都三県とは範囲が異なります。数字を引用する際は、どの区域を指しているかを確認したうえで扱う必要があります。

第三に、発表主体は相続関連サービスを提供する事業者です。研究自体は大学との共同で査読を経ていますが、社会的な関心の高いテーマを扱う研究は、事業の認知拡大とも結びつきます。結果の妥当性は論文本体で確認できる形になっており、J-STAGEで公開されている点は検証可能性の面で評価できます。

賛否・複数の立場

「相続によって地方から都市へ資産が移動する」という指摘に対しては、複数の受け止め方があります。地域金融の観点からは、地域の預金が相続を機に都市部の金融機関へ移り、地域内での再投資に回りにくくなるという課題意識につながります。地方銀行や信用金庫にとっては、相続時の資金流出は以前から実務上の論点でした。

一方で、資産の移動そのものは、相続人が住んでいる場所に資産が移るという当たり前の帰結でもあります。人口が都市部に集中している以上、相続資産が都市部に集まるのは構造的な結果であり、相続制度に原因を求めるべきかどうかは議論の余地があります。また、資産が移動しても、相続人が地方の実家や墓を維持し続けるケースもあり、資金の流れだけで地域とのつながりを測ることはできません。

データの利活用そのものについても、慎重な見方はあります。匿名加工されているとはいえ、相続という極めて私的な情報が研究に用いられることに対しては、利用者への説明と同意のあり方が問われます。研究の意義と、個人情報の取り扱いの透明性は、切り離さずに見ておきたい論点です。

Death Tech Japanの視点

【ニュース】相続で年2.19兆円が地方から東京圏へ ルリアン×筑波大の共同研究論文がGIS学会誌に掲載

どの領域の動きか

この発表は、相続の実務にテクノロジーを持ち込む動きのうち、「手続きの効率化」ではなく「データの分析」に軸足を置いた例です。相続分野のデジタル化はこれまで、書類作成の支援や専門家とのマッチング、口座照会の簡略化といった業務の省力化が中心でした。蓄積されたデータを集計し、社会構造を記述する材料として使う段階に進んだ点が、今回の特徴といえます。

なぜ重要か

相続は個々の家族の出来事として語られがちですが、それが年間29.79兆円という規模で積み上がると、地域経済の姿を左右する量になります。相続を「家族の問題」から「地域の問題」として捉え直す材料が、実データに基づいて提示されたことに意味があります。自治体完結型の相続が26.2%にとどまるという数字は、多くの家族にとって相続が「離れて暮らす親子の間で起きること」になっている現実を示しています。

生活者にとっての意味

実務のうえで示唆的なのは、地方に留まった相続人の44%が高齢の配偶者で、その過半数が70代以上という点です。配偶者が相続したあと、次の世代への相続が比較的短い期間で再び発生する可能性があるということでもあります。二次相続まで見据えた準備の必要性は以前から指摘されてきましたが、その対象になりやすい層の輪郭がデータで示された形です。

離れて暮らす家族の場合、口座や証券、保険がどこにあるかを把握するだけでも時間がかかります。近年はネット銀行やネット証券、サブスクリプション契約など、通帳や郵便物として形の残らない資産・契約も増えています。エンディングノートや資産の一覧を、元気なうちにまとめておく実務的な意味は、こうした数字の裏側にあります。

今後の展望

相続分野の事業者データが学術研究に使われる流れは、今後も広がる可能性があります。件数が増えれば、地域別・年齢別の傾向をより細かく見ることもできるでしょう。同時に、データの代表性をどう担保するか、利用者への説明をどう設計するかという課題も並行して問われます。公的統計と事業者データを突き合わせる検証が進めば、相続をめぐる議論はより具体的な土台を持つことになります。

まとめ

ルリアンと筑波大学などの共同研究論文は、相続実データをGISで分析し、年間29.79兆円規模の相続金融資産のうち一定量が地方から東京都・神奈川県へ移動している構造を示しました。数値はプラットフォームに集まったデータに基づく推計であり、代表性には留意が必要ですが、相続を地域経済の文脈で捉える材料としては貴重です。自治体完結型の相続が26.2%にとどまるという実態は、離れて暮らす家族が相続に備える難しさとも重なります。

離れて暮らす家族が相続に備えるうえでは、資産や契約の所在を書き出しておくことが出発点になります。書き方の考え方はエンディングノートに書く項目で整理しています。通帳や郵便物として形の残らないネット口座・サブスク契約の扱いはデジタル終活のやり方、関連する記事はデジタル遺品のカテゴリにまとめています。

出典:PR TIMES・株式会社ルリアン/元のプレスリリースを見る。本記事は当該リリースを参照し、Death Tech Japan編集部(運営:CreativePocket株式会社)が独自の視点で構成しました。

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