エンディングノートの書き方【20代版】デジタル終活も網羅した項目と始め方

「エンディングノートって、おじいちゃんおばあちゃんが書くものでしょ?」——20代のあなたがそう思うのは自然なことです。でも実は今、20代・30代の若い世代でエンディングノートを書く人が静かに増えています。理由はシンプルで、私たちの「もしも」は高齢者だけの話ではないから。事故や急な病気は年齢を選びませんし、スマホの中のSNS・サブスク・推し活アカウント・ペットの世話など、「自分しか知らない情報」は若い世代ほど多いのが現実です。
この記事では、20代が「なぜ書くのか」「何を書くのか」「どう始めるのか」を、ふわっとした精神論ではなく具体的な手順とチェック項目で解説します。無料で使えるアプリやノート、3日坊主にならず続けるコツ、そして20代だからこそ厚めに書きたい「デジタル終活」の項目まで、まるごと網羅します。難しい知識はいりません。スマホ片手に、今日30分で書き始められる内容です。
そもそもエンディングノートとは?20代が誤解しがちな3つのこと

エンディングノートとは、自分にもしものことがあったとき(事故・病気・災害など)に、家族や大切な人に伝えたい情報や意思を書き残しておくノートのことです。決まったフォーマットはなく、市販のノート、無料アプリ、ふつうの大学ノートやスマホのメモ、何で書いてもOK。まずは20代がつまずきやすい3つの誤解を解いておきましょう。
誤解1「高齢者が書くもの」→ 若いほど“自分しか知らない情報”が多い
高齢の親世代は、預金口座も保険も「家族がだいたい把握している」ことが多いものです。一方で20代のあなたの情報は、スマホのパスワード、SNSのアカウント、推し活の課金履歴、ネット銀行、サブスク契約まで、ほぼすべてがあなたの頭の中だけにあります。つまり若い世代こそ、自分が伝えないと誰も分からない情報の塊なのです。
誤解2「縁起が悪い」→ 防災グッズと同じ“備え”である
エンディングノートは「死ぬ準備」ではなく、防災グッズや非常用持ち出し袋と同じ「備え」です。地震に備えて水を備蓄するのと同じ感覚で、「もしも」に備えて情報を整理しておく。書いたからといって何かが起こるわけではありませんし、むしろ書くことで「今やりたいこと」が見えてくる人も多い、前向きなツールです。
誤解3「遺言書と同じ」→ 法的効力はないので役割が違う
ここは正確に押さえてください。エンディングノートには法的効力はありません。遺言書(特に自筆証書遺言・公正証書遺言)は民法に定められた方式に従って書けば、財産を「誰に相続させるか」を法的に指定できますが、エンディングノートにそうした強制力はありません。あくまで「自分の希望や情報を家族に伝えるメモ」という位置づけです。逆に言えば、形式に縛られず自由に書けるのが最大のメリット。両者の違いを整理すると次のとおりです。
| 比較項目 | エンディングノート | 遺言書 |
|---|---|---|
| 法的効力 | なし | あり(方式を満たした場合) |
| 書き方の決まり | 自由(何に書いてもよい) | 民法で方式が厳格に決まっている |
| 主な役割 | 情報・希望・気持ちを伝える | 財産の相続先などを法的に指定する |
| 書き直し | いつでも自由 | 方式に沿って書き直す必要がある |
| 20代の使いやすさ | ◎ 気軽に始められる | △ 財産が少ないうちは必須ではない |
20代でまとまった財産がある人は少数派なので、まずは気軽に書けるエンディングノートから始めるのがおすすめです。財産が増えてきたり、特定の人に確実に残したいものができたら、そのとき遺言書を検討すればOK。基本的な書き方や項目の全体像はエンディングノートの書き方・項目一覧でも詳しく解説しています。
20代がエンディングノートを書く5つの意味・メリット
「若いのになぜ書くの?」に対する具体的な答えがこちらです。ひとつでも当てはまったら、書く価値は十分あります。
1. 事故・急な病気への備え(年齢は関係ない)
交通事故、災害、突然の入院——これらは20代にも起こり得ます。意識を失って入院したとき、家族があなたのスマホを開けず、誰に連絡すればいいか分からず、契約しているサービスも把握できない、という状況は実際に起こっています。連絡してほしい友人、かかりつけの情報、スマホのロック解除の手がかりを書いておくだけで、家族の負担は大きく減ります。
2. デジタル情報(SNS・サブスク・ネット銀行)の引き継ぎ
20代の財産や情報は、その多くがデジタル空間にあります。動画配信や音楽のサブスク、ネット銀行、電子マネー、ポイント、SNSアカウント。これらは本人しかログインできず、放置すると課金が止まらなかったり、アカウントが乗っ取られたりするリスクがあります。後述する「デジタル終活」の章で、何をどう書くか詳しく解説します。
3. 推し活・趣味のコレクションへの意思表示
推しのグッズ、同人誌、フィギュア、限定品のコレクション。これらは家族から見ると価値が分からず、「ただのモノ」として処分されてしまうことも。「このグッズは○○さんに譲ってほしい」「このアカウントは静かに削除してほしい」といった希望を書いておけば、あなたの“好き”が尊重されます。推し活アカウントのフォロワーへの最後のメッセージを残しておく人もいます。
4. ペットの世話を託す相手を決めておける
一人暮らしでペットを飼っている場合、あなたに何かあったときペットはどうなるのか、考えておく必要があります。世話を頼める人、かかりつけの動物病院、フードの種類、性格や持病など、世話に必要な情報を書いておけば、ペットの命を守ることにつながります。
5. 親への意思表示・自分の気持ちの整理になる
延命治療や臓器提供、もしものときの連絡先など、ふだん親と話しにくいことを文字で伝えられます。さらに、書く過程で「自分が本当に大切にしているものは何か」「これからやりたいことは何か」が見えてきます。エンディングノートは、未来の自分を見つめ直すきっかけにもなるのです。
20代のエンディングノートに書く項目【優先度つきチェックリスト】
全部をいきなり埋める必要はありません。20代に必要度の高い順に並べました。まずは「◎ 最優先」から書いていきましょう。
| カテゴリ | 書く内容 | 20代の優先度 |
|---|---|---|
| 緊急連絡先 | 家族・親しい友人・職場の連絡先、伝えてほしい相手 | ◎ 最優先 |
| スマホ・PC | 解除の手がかり、ロック解除の希望(中身を見てよいか) | ◎ 最優先 |
| デジタル資産 | ネット銀行・証券・電子マネー・ポイントの一覧 | ◎ 最優先 |
| サブスク | 契約中の月額サービス一覧(解約してほしいもの) | ◎ 最優先 |
| SNS・アカウント | 各アカウントと「削除・残す・追悼」の希望 | ○ 優先 |
| 推し活・趣味 | コレクションの扱い、譲りたい相手 | ○ 優先 |
| ペット | 世話を託す相手、動物病院、フード、性格・持病 | ○ 優先(飼っている人) |
| 医療・介護の希望 | 延命治療・臓器提供などの考え | △ 余裕があれば |
| お金まわり | 銀行口座・保険・奨学金など借入の有無 | △ 余裕があれば |
| 大切な人へのメッセージ | 家族・友人・恋人への気持ち | △ 書きたくなったら |
項目をもっと詳しく知りたい人はエンディングノートの書き方・項目一覧を、終活全体の流れを知りたい人は終活カテゴリもあわせてどうぞ。
【最重要】20代のデジタル終活:スマホ・SNS・サブスク・推し活の書き方
ここが20代のエンディングノートで一番大切なパートです。デジタル終活とは、スマホやネット上に残るデータ・アカウント・お金(デジタル遺品)を、もしもに備えて整理しておくこと。若い世代ほど情報がデジタルに偏っているため、丁寧に書いておきましょう。
スマホ・PCのロック:パスワードは“直接書かない”のが安全
スマホやPCが開けないと、中の情報すべてに家族はアクセスできません。とはいえ、エンディングノートにパスワードをそのまま書くのは盗難・紛失時に危険です。安全な書き方のコツは次のとおりです。
- パスワードそのものではなく、「手がかり(ヒント)」だけ書く。例:「昔の誕生日+好きな数字」のように本人と近しい人だけ分かる形に。
- パスワード管理アプリ(パスワードマネージャー)を使い、そのマスターパスワードの保管場所だけを伝える。
- スマホの中を「見てほしい/見ないでほしい」の希望もはっきり書く。プライバシーの線引きは自分で決めてよい。
SNSアカウント:「削除・残す・追悼」を1つずつ決める
SNSは放置すると乗っ取りや、なりすましの被害に遭うことがあります。アカウントごとに、もしものときどうしてほしいかを書いておきましょう。主要サービスには追悼アカウント機能やアカウント削除の仕組みがあります。
| サービス例 | 選べる希望 | 書いておくこと |
|---|---|---|
| Instagram / Facebook | 追悼アカウント化/削除 | どちらを希望するか |
| X(旧Twitter) | 削除依頼 | 削除してほしいか、残すか |
| LINE | アカウント削除 | トーク履歴をどうするか |
| 推し活用のサブ垢 | 削除/そっと残す | フォロワーへの一言メッセージ |
| YouTube・ブログ等 | 削除/公開維持 | 収益化していれば引き継ぎ先 |
サブスク:止め忘れると課金が続く“見えない出費”
動画・音楽・ゲーム・アプリの月額課金は、本人が解約しない限り引き落とされ続けます。家族が把握していないと、亡くなったあとも課金が続いてしまうことも。契約中のサブスクを一覧にして「解約してほしいもの」を明記しておきましょう。アプリ内課金やソシャゲの引き継ぎ希望も書いておくと丁寧です。
- 動画・音楽配信、電子書籍、クラウドストレージ
- ゲームの月額・ガチャ課金、ファンクラブ会費
- 定期便(コスメ・食品・サプリなど)
- 有料アプリ、ジム・習い事の月会費
デジタル資産:ネット銀行・電子マネー・ポイントの一覧化
通帳のないネット銀行や証券、電子マネー、各種ポイントは、存在自体を家族が知らないと“消えてしまうお金”になります。サービス名と「どこにあるか(アプリ名・サイト名)」までを一覧にしておきましょう。残高や暗証番号そのものは書かず、保管場所を伝える方式が安全です。
推し活アカウント・デジタルコレクションの扱い
課金して集めたデジタルグッズ、推しのアカウント、ファンコミュニティでのつながり。これらは家族には価値が伝わりにくいぶん、あなた自身の言葉で「どうしてほしいか」を残す意味が大きい項目です。「このアカウントは○○さん(仲の良いフォロワー)に削除を頼んでほしい」「最後にこの一言を投稿してほしい」など、自由に書いて構いません。
デジタル終活の具体的な進め方はデジタル終活のやり方で手順を追って解説しています。デジタル遺品まわりの知識を深めたい人はデジタル遺品カテゴリもチェックしてみてください。
エンディングノートのはじめ方【20代向け5ステップ】
「書こう」と思っても何から手をつければいいか迷うもの。次の5ステップなら、今日30分で第一歩を踏み出せます。
- ツールを選ぶ。スマホのメモアプリ、無料アプリ、市販ノートのどれでもOK。続けやすいものが正解です(次章で紹介)。
- 緊急連絡先から書く。家族・親しい友人・職場の連絡先など、すぐ書ける項目から手をつけて「書けた」を体感する。
- デジタル情報を棚卸しする。スマホのホーム画面を眺めながら、サブスク・SNS・ネット銀行アプリを一覧にする。
- 希望・気持ちを書き足す。推し活・ペット・医療の希望、伝えたいメッセージなど、書きたくなったものから。
- 保管場所を決めて家族に伝える。「○○にエンディングノートがある」と一人にだけ伝えておく。書いても伝わらなければ意味がないので、ここが最重要です。
完璧を目指さないことがコツです。空欄があってもまったく問題ありません。「今分かることだけ書く」で十分、あとから何度でも追記・修正できます。
無料で始められる!20代向けエンディングノートの選び方
お金をかけずに始められる選択肢を、それぞれのメリットとともに紹介します。自分のライフスタイルに合うものを選びましょう。
| タイプ | 具体例 | 向いている人 |
|---|---|---|
| スマホのメモアプリ | 標準メモ、Google ドキュメント、Notionなど | とにかく無料・手軽に始めたい人 |
| エンディングノート用アプリ | 終活・デジタル終活向けの無料アプリ | 項目が用意されていると書きやすい人 |
| 市販のエンディングノート | 書店・100円ショップ・文具店のノート | 手書きで残したい人 |
| 自治体・企業の無料配布 | 自治体や金融機関が配るノート | コストをかけたくない人 |
20代には、まずスマホのメモアプリで始めるのがおすすめです。いつでも開けて、いつでも追記できるから続けやすいのが理由。ただしクラウド保存のパスワード管理だけは気をつけて。手書き派なら100円ショップや書店で売っているノートでも十分です。自治体が無料配布しているケースもあるので、お住まいの市区町村のサイトを確認してみましょう。
3日坊主にしない!エンディングノートを続ける5つのコツ
書き始めても途中で止まってしまう人は多いもの。20代でも無理なく続けられるコツをまとめました。
- 一度に完成させようとしない。1日1項目、5分だけでもOK。少しずつが続く秘訣です。
- 更新のタイミングを決める。誕生日・年末・引っ越し・転職など、節目に見直す習慣をつける。
- スマホですぐ開ける場所に置く。ホーム画面にショートカットを作ると、思い立ったときに追記できる。
- 「書きたい項目」から書く。義務感のある項目より、推し活やメッセージなど楽しい項目から書くと続く。
- 友だちと一緒に書く。同世代と「終活やってみた」をシェアすると、ハードルが下がって習慣になりやすい。
20代が注意したいポイント【パスワード・保管・法的効力】

最後に、書くときに気をつけたい3点を確認しておきましょう。
- パスワード・暗証番号をそのまま書かない。紛失・盗難時のリスクがあるため、ヒントや保管場所を伝える方式にする。
- 保管場所と存在を信頼できる人に伝える。誰にも知られず書いただけでは、もしものとき見つけてもらえません。
- 財産の相続先を確実に指定したいなら遺言書を。エンディングノートに法的効力はないため、法的に残したい希望は遺言書で。両方を使い分けるのがベストです。
Death Tech Japanは、終活・相続・グリーフケア・家族の記録を、若い世代にも分かりやすく届けるメディアです。運営の想いはAboutのページでご紹介しています。終活やエンディングノートをもっと知りたくなったら、エンディングノートカテゴリの記事ものぞいてみてください。
まとめ:20代の今だからこそ、スマホ片手に書き始めよう
エンディングノートは高齢者だけのものではありません。むしろ、スマホの中に“自分しか知らない情報”をたくさん抱える20代こそ、書く意味があります。事故や病気への備え、SNS・サブスク・推し活アカウントといったデジタル情報の引き継ぎ、ペットや推し活への意思表示、そして親への気持ちの整理——。書くことは「死の準備」ではなく、今の自分と大切な人を守る「備え」です。
難しく考えず、まずは緊急連絡先とサブスクの一覧から。スマホのメモアプリを開いて、今日5分だけ書いてみる。それだけで第一歩は踏み出せます。完璧じゃなくて大丈夫。あなたのペースで、少しずつ育てていきましょう。
よくある質問(FAQ)
20代でエンディングノートを書くのは早すぎませんか?
早すぎることはありません。事故や急な病気は年齢を問わず起こり得ますし、20代はスマホの中のSNS・サブスク・ネット銀行・推し活アカウントなど「自分しか知らない情報」がとても多い世代です。むしろ情報がデジタルに偏る若い世代ほど、整理しておく意味があります。
エンディングノートに法的効力はありますか?
ありません。エンディングノートは自分の情報や希望を家族に伝えるためのメモで、財産の相続先などを法的に指定する力はありません。法的に確実に残したい希望がある場合は、民法の方式に沿った遺言書を別に用意する必要があります。両者は役割が異なるため、使い分けるのがおすすめです。
無料で始められますか?
始められます。スマホの標準メモアプリやGoogle ドキュメント、Notionなどを使えば0円で書けますし、終活向けの無料アプリもあります。手書き派なら100円ショップや書店のノートでも十分。自治体が無料でエンディングノートを配布している場合もあるので、お住まいの市区町村のサイトを確認してみましょう。
パスワードはエンディングノートに書いてもいいですか?
パスワードや暗証番号をそのまま書くのは、紛失・盗難時のリスクがあるため避けましょう。本人と近しい人だけが分かる「ヒント」を書く、パスワード管理アプリのマスターパスワードの保管場所だけを伝える、といった方式が安全です。
何から書き始めればいいですか?
まずは緊急連絡先(家族・親しい友人)と、契約中のサブスク・SNSアカウントの一覧から書くのがおすすめです。すぐ書ける項目から手をつけて「書けた」を実感し、そのあと推し活・ペット・医療の希望などを書き足していくと続けやすくなります。空欄があっても問題ありません。
書いたエンディングノートはどこに保管すればいいですか?
すぐ取り出せて、信頼できる人に存在を伝えられる場所が基本です。手書きなら自室の決まった場所、デジタルならクラウドやメモアプリでもよいですが、もしものとき家族が見つけられるよう「○○にある」と一人にだけ伝えておくことが何より大切です。書いても伝わらなければ役に立たないので、保管と共有はセットで考えましょう。
