【ニュース】ウェブ完結の終活サービス「LeTTeR」提供開始 月額110円でID・契約情報を家族へ託す

株式会社MaSANO Vidaは2026年7月28日、ウェブ完結型の終活サービス「LeTTeR(レター)」の提供開始を発表しました。銀行口座や保険、サブスクリプション、IDやパスワードといった情報を一箇所にまとめ、あらかじめ指定した相手へ渡すことを目的としたサービスです。本人の利用料は月額110円(税込)と、この領域では低い価格帯に設定されています。
本記事は同社のプレスリリースをもとに、Death Tech Japan編集部が独自の視点で読み解きます。
リリースの要点

- 発表社は株式会社MaSANO Vida。発表日は2026年7月28日。サービス名は「LeTTeR」。
- 登録できる情報は、銀行口座、保険、サブスクリプション契約、IDやパスワードなど。PDFの保存にも対応する。
- アプリのインストールは不要で、ブラウザ上で利用する設計。
- あらかじめ登録した「共有者」が情報の開示を申請する仕組みを備え、本人は24時間以内であれば開示を停止できると説明されている。
- 写真や手紙を残す「思い出アルバム」機能を用意。
- 料金は、本人の利用が月額110円(税込)。共有者の登録は1名につき1回限り1,100円(税込)で、共有者自身の利用料は無料。思い出アルバムは1回限り1,100円(税込)。
- キャッチコピーは「残しておいて、よかった。」。
客観的に見ると
市場・業界の文脈
デジタル資産やアカウント情報の継承を扱うサービスは、ここ1〜2年で選択肢が増えています。2026年5月にはアイティフォーが「デジシェア」を正式リリースし、終活アプリ「SouSou」を運営する株式会社そうそうはエンディングノートの製本サービスを開始しました。株式会社GOODREIは、スマートフォンやSNS、生成AIのアカウント整理を専門家に依頼できる「デジ・タクセル」を2026年5月に提供開始しています。
これらは大きく、(1)自分で情報を登録・保管しておく「セルフ記録型」、(2)死後や意思疎通が難しくなった後に専門家が代行する「代行型」に分かれます。LeTTeRは前者にあたり、月額110円という価格と、アプリ不要でブラウザから使える点を訴求の中心に置いています。専門家が介在しない分だけ単価を抑えられる構造といえます。
データ・主張の読み方
今回のリリースには、利用者数や市場規模、利用者アンケートといった定量データは示されていません。訴求されているのは機能構成と料金であり、「どれだけの人が使っているか」「実際に情報の受け渡しが機能したか」を判断できる材料は現時点では公開されていません。サービス開始の具体的な日付も明記されていないため、提供状況は公式サイトで確認する必要があります。
また「24時間以内に停止できる」という説明も、開示申請が起きてから本人が気づける状態にあることが前提になります。通知の届き方や、本人が長期入院などで操作できない場合の扱いは、リリース文だけでは判断できません。導入を検討する際は、利用規約でこの部分がどう定められているかを確かめるのが実務的です。
賛否・複数の立場
利点としては、価格の低さが挙げられます。月額110円であれば、まず始めてみる際の心理的な負担は小さく、共有者側に費用がかからない点も家族に頼みやすい設計です。契約やサブスクの一覧が残っていれば、遺族が解約手続きに要する時間を減らせる可能性もあります。
一方で、慎重に見るべき点もあります。第一に、IDやパスワードを外部のサービスに預けることそのもののリスクです。第二に、事業者が将来サービスを終了した場合、預けた情報がどう扱われるのかという継続性の問題があります。第三に、金融機関やオンラインサービスの多くは利用規約でIDやパスワードの第三者共有を禁じており、パスワードを家族に渡せば手続きがそのまま通るとは限りません。デジタル終活の実務では、パスワードそのものよりも「どこに何の契約があるか」の一覧を残すことのほうが確実に役立つ、という指摘も専門家の間では珍しくありません。
Death Tech Japanの視点

どの領域の動きか
本件は「デジタル遺品・情報の継承」領域の動きです。葬送や供養ではなく、亡くなった後に残る契約・アカウント・データをどう引き継ぐかという、手続き寄りの課題を扱っています。エンディングノートが紙で担ってきた役割を、ウェブ上に置き換えようとする試みと位置づけられます。
なぜ重要か
背景として、制度側でも遺言のデジタル化が進み始めています。2026年6月17日には改正民法が成立し(同月24日公布)、パソコンやスマートフォンで作成した遺言を法務局に保管する「保管証書遺言」が新設されました。施行は公布から3年を超えない範囲で政令で定める日とされており、現時点ではまだ利用できません。
つまり、法的な効力を持つ「遺言」のデジタル化と、法的効力はないが実務上必要な「情報の申し送り」のデジタル化が、別々の速度で並行して進んでいる状態です。LeTTeRのような民間サービスが担うのは後者にあたります。両者は代替関係ではなく、役割が異なる点を押さえておく必要があります。
生活者にとっての意味
遺族が困りやすいのは、資産の分け方以前に「そもそも何があるのか分からない」という段階です。ネット銀行やネット証券、有料サブスクリプションは、通帳や郵便物といった手がかりを残さないことが多く、把握そのものに時間がかかります。月額単位のサブスクは、解約されないまま引き落としが続くことも起こり得ます。
この観点では、こうしたサービスを使うかどうかにかかわらず、「契約先の一覧」「連絡先」「解約に必要な情報の在りか」を書き出しておくこと自体に意味があります。ツールはその作業を継続しやすくする手段の一つと考えるとよいでしょう。
今後の展望
この分野では今後、価格競争よりも「預けた情報が確実に、必要な人にだけ渡るか」という信頼性が選別の軸になっていくと考えられます。事業終了時のデータの扱い、認証の強度、開示条件の明確さといった項目が、比較の対象として整理されていくかどうかが焦点です。低価格帯のサービスが増えること自体は裾野を広げますが、長期にわたって預ける性質のサービスである以上、運営体制の持続性も併せて見る必要があります。
まとめ
LeTTeRは、デジタル終活を低価格で始められる選択肢の一つとして登場しました。一方で、公開されている情報からは利用実績や開示条件の詳細が読み取れず、判断には公式の利用規約の確認が必要です。ツールの導入を検討する前に、まず自分の契約とアカウントを棚卸しし、家族に伝わる形で残しておくことが、どの手段を選ぶ場合でも土台になります。
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出典:PR TIMES・株式会社MaSANO Vida/元のプレスリリースを見る。本記事は当該リリースを参照し、Death Tech Japan編集部(運営:CreativePocket株式会社)が独自の視点で構成しました。
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