【ニュース】墓じまい費用「知らない」88.6%、6割が「自分の代で終わらせてもよい」──継承しない供養への転換が鮮明に

一般社団法人 終活協議会(想いコーポレーショングループ)は2026年7月17日、「墓じまいと供養先の再選択に関する実態調査」の結果を発表しました。終活ガイド資格の取得者860名を対象にした調査で、墓じまい費用を「具体的に知らない」人が88.6%にのぼる一方、61.1%が「自分の代でお墓を終わらせてもよい」と考えていることが明らかになりました。継承を前提としない供養へと価値観が動いていることを示す内容です。
本記事は同社のプレスリリースをもとに、Death Tech Japan編集部が独自の視点で読み解きます。
リリースの要点

- 調査主体は一般社団法人 終活協議会/想いコーポレーショングループ。調査期間は2026年6月1日〜6月30日、対象は終活ガイド資格検定3級・2級の取得者860名。
- 墓じまい費用を「具体的に知っている」人は11.4%にとどまり、88.6%が「具体的に知らない」と回答。
- 「自分の代でお墓を終わらせてもよい」に共感する人は61.1%。
- 親から墓じまいの話を持ちかけられた経験がある人は38.8%。一方で「話を切り出したいが切り出せない」人も25.0%にのぼった。
- 墓じまい後の供養先の希望は、一般墓(従来型)23.3%に対し、永代供養19.5%・散骨15.7%・樹木葬15.0%・手元供養3.3%。継承者を必要としない供養先の合計は53.5%で、従来型を上回った。
- 最も必要とされている支援は「墓じまいの手順・費用が分かる情報」で33.6%。
客観的に見ると
市場・業界の文脈
墓じまいや改葬をめぐる調査は、鎌倉新書をはじめ複数の事業者が継続的に実施しており、近年は「継承者不在」を背景にした供養先の多様化がたびたび報告されてきました。厚生労働省の「衛生行政報告例」でも改葬件数は長期的に増加傾向にあります。今回の調査は、こうした流れの中で「継承を前提としない供養」を選ぶ心理的なハードルや情報不足に焦点を当てた点に位置づけられます。永代供養・樹木葬・散骨・手元供養といった選択肢は、寺院や霊園、専門事業者がすでにサービスとして提供しており、供給側の環境は整いつつあります。
データ・主張の読み方
この調査で留意したいのは、回答者が「終活ガイド資格」の取得者860名である点です。終活に一定の関心と知識を持つ層であり、一般の生活者全体よりも供養や墓じまいへの意識が高い可能性があります。したがって「61.1%が自分の代で終わらせてよいと考える」という数値は、社会全体の平均というより、終活に前向きな層の傾向として読むのが妥当でしょう。とはいえ、関心の高い層ですら88.6%が費用を把握できていないという結果は、情報提供の不足を示す指標として重く受け止められます。標本規模860名は傾向をつかむには十分ですが、地域差や宗派差までは読み取れない点にも注意が必要です。
賛否・複数の立場
継承を前提としない供養の広がりには、賛否があります。当事者にとっては、子や孫に管理の負担を残さずに済む合理的な選択として歓迎する声がある一方、散骨や手元供養では「手を合わせる場所が定まらない」ことへの戸惑いや、後になって遺族が拠り所を失うという指摘もあります。寺院・墓地の側からは、檀家制度や地域の供養文化の維持という課題も浮かび上がります。費用面でも、墓じまいには離檀料や撤去費用など見えにくいコストが伴うことがあり、「安く済む」という先入観だけで進めるとトラブルになりかねません。利点と課題の双方を踏まえた判断が求められます。
Death Tech Japanの視点

どの領域の動きか
これは「葬送・供養」領域における、継承モデルからの転換を示す動きです。家という単位で墓を受け継ぐ前提が崩れ、個人が自分の代で完結する供養を選ぶ流れが、データとして可視化されました。同時に「費用や手順が分からない」という情報格差が最大の障壁として浮かび上がっており、ここは情報とテクノロジーが貢献できる余地の大きい領域だと考えます。
なぜ重要か
墓じまいは、一度実行すると元に戻せない不可逆な意思決定です。にもかかわらず、関心層でさえ約9割が費用を把握できていないという事実は、判断材料の不足が深刻であることを意味します。情報が足りないまま「切り出せない」状態が続けば、意思決定は先送りされ、いざというとき遺族が慌てて選ぶことになります。透明性のある費用情報や比較のしくみが整うことは、後悔のない選択を支える基盤になります。
生活者にとっての意味
生活者にとって重要なのは、「継承しない供養」が選択肢として一般化しつつあるという安心感と、家族との対話をいつ始めるかという問いです。調査では25.0%が「話を切り出したいが切り出せない」と答えました。エンディングノートに自分の希望する供養の形や費用の考え方を書き残しておくことは、この最初の一歩を後押しします。デジタルで情報を整理・共有しておけば、離れて暮らす家族とも認識をそろえやすくなります。
今後の展望
今後は、供養先の多様化そのものよりも、「意思決定を支える情報インフラ」の整備が焦点になるとみています。費用の内訳を透明化する比較サービス、手続きを可視化するチェックリスト型ツール、そして家族間で希望を共有するデジタル終活の仕組みが組み合わさることで、墓じまいは「不安な作業」から「納得して進める意思決定」へと変わっていくはずです。継承者不要の供養が主流化する時代に、Death Tech Japanは情報とテクノロジーの両面からこの変化を追い続けます。
まとめ
今回の調査は、継承を前提としない供養が広がる一方で、費用や手順に関する情報不足が意思決定の最大の障壁になっていることを浮き彫りにしました。墓じまいは不可逆な選択だからこそ、早めに情報を集め、家族と対話し、自分の希望を書き残しておくことが後悔を防ぎます。まずは自分の考えを整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。
出典:PR TIMES・一般社団法人 終活協議会/元のプレスリリースを見る。本記事は当該リリースを参照し、Death Tech Japan編集部(運営:CreativePocket株式会社)が独自の視点で構成しました。
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