【ニュース】実家じまいの話し合い実施率29.5%に低下 すむたす第3弾調査、「大相続時代」でも進まぬ家族の会話

不動産買取サービスを手がける株式会社すむたすが2026年8月7日、「実家じまいに関する意識調査 第3弾」を公表しました。親子間で実家の今後について話し合ったことがある人は29.5%で、前回調査の32.5%から低下しています。相続が本格化する年代が増える一方、家族の会話は必ずしも進んでいない実態が示されました。本記事は同社のプレスリリースをもとに、Death Tech Japan編集部が独自の視点で読み解きます。
リリースの要点

- 調査名は「実家じまいに関する家族間コミュニケーション実態調査」。調査期間は2026年7月21日から7月22日、インターネットによる全国調査。
- 対象は親世代(60〜89歳・子どもあり・持ち家・子と別居)100名と、子世代(30〜59歳・存命の親と別居・存命の兄弟姉妹あり)100名の計200名。
- 親子間で実家の今後を話し合った経験がある割合は29.5%。前回調査の32.5%から低下した。
- 兄弟姉妹間での話し合い実施率は20.0%。一方、兄弟姉妹で意見が対立した経験があるとの回答は40.0%。
- 話し合わない理由は、親子ともに「まだ具体的に考えていない」が最多。親世代では「必要性を感じていない」が25.7%、子世代では「話を切り出すきっかけがない」が28.2%、「何から話してよいか分からない」が19.7%。
- 希望する処分方法は親子ともに「売却」が最多。ただし親が「子に住んでほしい」と答えた割合は24.0%、子が「自身が住みたい」と答えた割合は18.0%と差がある。
- 何らかの準備を始めている人は親世代43.0%、子世代39.0%。準備したい内容の最多は双方とも「不要品の整理・処分」。
客観的に見ると
市場・業界の文脈
「実家じまい」をテーマにした民間調査は、ここ数年で急速に増えています。不動産買取・空き家再生・遺品整理・相続相談といった隣接業種がそれぞれ調査を出しており、今回の第3弾も、同社が継続的に実施しているシリーズの一部です。同じ時期のプレスリリースを見ると、実家の片付けで判断に迷った経験を尋ねた調査や、相続した空き家のライフライン契約の扱いを尋ねた調査など、同じ問題を別の角度から測る発表が並んでいます。
背景にあるのは、住宅を持つ高齢世帯と、別居する子世代という組み合わせが標準的になったことです。かつては同居や近居によって「誰が家を引き継ぐか」が自然に決まる場面が多くありましたが、別居が前提になると、引き継ぐかどうかを言語化して決める必要が生じます。今回の調査が「話し合いの有無」を指標に置いているのは、この構造の変化を反映したものと言えます。
データの読み方
数値を扱ううえで、いくつか留意点があります。まず有効回答数は親世代100名・子世代100名の計200名で、統計としては小規模です。29.5%と前回32.5%の差は3ポイント程度であり、この規模のサンプルでは誤差の範囲に収まる可能性があります。「低下」という表現をそのまま傾向の反転と読むのは慎重であるべきで、むしろ「3割前後で横ばいが続いている」と捉えるほうが実態に近いと考えられます。
次に、調査主体が不動産買取サービスの事業者である点です。これは調査が不正確だという意味ではなく、設問設計や切り口が事業領域と関連しやすいという性質の話です。実際、希望する処分方法として「売却」が最多という結果は、同社の事業と方向性が一致します。回答者の抽出条件(持ち家・別居・兄弟姉妹あり)も、話し合いが必要になりやすい層に絞られている点を踏まえて読む必要があります。
一方で、単発の調査ではなく同一テーマを繰り返し測っていること、親世代と子世代の双方に同じ論点を尋ねて差分を示していることは、データとしての読み応えを高めています。親が「子に住んでほしい」24.0%に対し、子が「自身が住みたい」18.0%という並列は、単純な賛否ではなく認識のずれの幅を示す情報として意味があります。
複数の立場から
「話し合いが進まないこと」を一律に問題として扱うことにも、いくつかの見方があります。早めに合意しておけば、判断の選択肢が多い時期に検討でき、手続きの負担も分散できるという利点は明確です。兄弟姉妹での意見対立経験が40.0%という数値も、事前の情報共有が乏しいまま判断の場面を迎えることのコストを示しています。
他方、親世代の25.7%が「必要性を感じていない」と答えている点は、そのまま準備不足と断じられるものでもありません。健康状態や資産状況によって適切な時期は異なりますし、住まいの将来を話題にすることが、当事者にとって重い意味を持つ場合もあります。子世代の「切り出すきっかけがない」28.2%という回答も、関心の低さというより、会話の入り口が用意されていないという実務的な課題として読めます。話し合いを促すこと自体より、切り出しやすい形式や順序を用意することのほうが、実効性のある論点になりそうです。
Death Tech Japanの視点

どの領域の動きか
この調査は、終活のなかでも「不動産と家族間合意」の領域に位置づけられます。エンディングノートや遺言が主に意思の記録を扱うのに対し、実家じまいは記録だけでは完結せず、複数の当事者の合意と実際の手続きを必要とします。デジタル化が進めやすい領域と、進めにくい領域の境目にあるテーマだと言えます。
なぜ重要か
注目したいのは、実施率そのものよりも「話し合わない理由」の内訳です。「必要性を感じていない」は動機の問題ですが、「切り出すきっかけがない」「何から話してよいか分からない」は設計の問題です。後者は合計で子世代の約半数を占めており、意欲の欠如ではなく、手がかりの不在が会話を止めていることを示唆します。これは、ツールやサービスが介入できる余地が大きいということでもあります。
終活アプリやエンディングノートの多くが、資産・契約・希望を項目化して埋める形式を採っているのは、まさにこの「何から話してよいか分からない」に対する回答です。項目が並んでいれば、内容の是非を論じる前に、まず一覧を眺めるところから始められます。実家の扱いについても、同じ発想の入り口が有効に働く可能性があります。
生活者にとっての意味
読者が今日から取れる行動として、いくつか現実的な選択肢があります。ひとつは、結論を出そうとしないこと。「売るか残すか」を最初の議題にすると、双方が身構えやすくなります。準備したい内容の最多が親子とも「不要品の整理・処分」だったことは示唆的で、片付けという具体的で可逆的な作業を入り口にすれば、判断を伴わないまま実家の話題に触れられます。
もうひとつは、事実の共有を先に済ませることです。登記の状況、固定資産税の額、修繕の履歴、鍵や書類の保管場所といった情報は、意見が分かれる要素をほとんど含みません。兄弟姉妹での対立経験が40.0%にのぼる一方、話し合い実施率が20.0%にとどまっている状況では、意見交換の前に情報の非対称をなくしておくことが、後の摩擦を減らす現実的な方法になります。エンディングノートの不動産・資産の欄は、この用途に使えます。
今後の展望
実家じまいは、書類・写真・記憶といった複数の種類の情報が一度に動く場面です。近年は住まいを360度で記録するサービスや、家族年表・家系図と組み合わせて残す取り組みも登場しており、「処分」と「記録」を切り分ける選択肢が増えています。話し合いのハードルが下がる要因としては、制度の整備よりも、こうした具体的な選択肢が可視化されることのほうが効きやすいかもしれません。同社が継続調査を重ねている以上、次回以降の数値が横ばいを続けるのか、あるいは何をきっかけに動くのかは、引き続き追う価値のある指標です。
まとめ
すむたすの第3弾調査は、実家の今後について親子で話し合った経験がある人が29.5%であることを示しました。サンプル200名という規模を踏まえれば、前回32.5%からの変化は横ばいと読むのが妥当ですが、「切り出すきっかけがない」「何から話してよいか分からない」という理由の比重が高いことは、動機ではなく手順の問題として課題を捉え直す材料になります。まず不要品の整理や事実情報の共有といった、判断を伴わない作業から始めることが、実務的な第一歩になりそうです。
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出典:PR TIMES・株式会社すむたす/元のプレスリリースを見る。本記事は当該リリースを参照し、Death Tech Japan編集部(運営:CreativePocket株式会社)が独自の視点で構成しました。
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